蛭子ミコト:ブログ版second

主に食品添加物や食品衛生のことについて書いていくブログ

次亜塩素酸水について2 ~公定書解説書にはどう書いてある?~

次亜塩素酸水について1 の続きです

 

ではさっそく、第8版食品添加物公定書解説書から次亜塩素酸水についての解説を抜き出していきます。が、長いので今回は最初に要点を書いて、その後の説明に付き合ってもらう形にします。

 

次亜塩素酸水は、安定性の面から供給する手段のない次亜塩素酸を使用段階で製造し、利用できるようにしたもの

 ・製造装置と使用上の定義が別通知で出されている特別なパターン

・用途は(汚れを落としてから)野菜・果物や機器・器具などの消毒・殺菌に用いる

・最終食品の完成前に次亜塩素酸水を除去する必要があります。

 

 

ここから細かいけど抜粋した話になります。

・いわゆる「電解水」の一つとして研究されてきた。
・強酸性電解水の殺菌効果が1990年に報告され、食品や医療の衛生管理に一部使用されるようになった。
・次亜塩素酸は、過去には食品添加物に指定されていたが、保存安定性が悪いために普及せず、使用実態なしで1991年に指定から外れた

 

はい、まずここに注目。

昔は食品添加物に指定されていたが、保存安定性が悪く使用実態もないので指定から外されてます。で、それとは別に電解水の研究もされてきていて、その結果が2002年に再指定のような形となります。


・2002年に強酸性電解水と微酸性電解水が次亜塩素酸水として指定された。(2012年に弱酸性次亜塩素酸水が追加)
・次亜塩素酸水の範囲、生成装置や使い方に関する留意点などが通知された。(食基発第0610001号) https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/08/dl/s0819-8m.pdf

 

この通知、食基発第0610001号が地味ながらとても重要です。

・生成装置内で電解することにより得られる
・電極や電解槽、ポンプなどの生成装置のハードウェアに関する留意点

・次亜塩素酸水の使用上の注意(pH及び有効塩素濃度の確認、食品の汚れを洗浄後使用する、精製時に微量の塩素ガス&水素ガスが発生することから装置の作動時には十分な換気を行う、最終食品の完成前に除去しなければならない(=水道水の塩素レベルまで)
次亜塩素酸水は、安定性の面から供給する手段のない次亜塩素酸を使用段階で製造し、利用できるようにしたものである

(重要なので繰り返しました)

 

次亜塩素酸水は、食品添加物公定書及び解説書だけではなく、通知についてもしっかり把握する必要がある特殊なものと言えます。

 

また、性質を調べて個人的に驚いたのが、強酸性次亜塩素酸水は手指の消毒例が記載されていたこと。
正確には、陰極側で作られる強アルカリ電解水(=0.2%くらいの水酸化ナトリウム溶液)で洗浄後、強酸性次亜塩素酸水で消毒との記載があります。

(個人的には強酸性次亜塩素酸水のpHは2.7以下なので、さらに水ですすぎたいです。床の消毒では軽くすすぎって文言があるのに…)

で、解説の途中に、この文章が書かれています。

『対象物との接触により有効塩素が短時間に消失することがあるため、流水で使用することが望ましい

これは、最初に次亜塩素酸が指定取り消された理由ともつながります。すぐ消失してしまうからこそ、装置から蛇口から水道水を出しっぱなしにするかのごとく、次亜塩素酸水を流しっぱなしで使用するということです。

 

書かれている毒性も読んでみてある意味驚いた。
経口投与:特筆する変化なし
口腔組織(粘膜):上皮層の肥厚、粘膜組織の軽度の変化
皮膚刺激性:認められず

解説書に書かれている内容だと、そんなに毒性高くないのです。ただし、粘膜にはある程度の障害が起こりうるかなと言えます。

 

その1、その2によって、次亜塩素酸水についての特徴がわかってきました。

 

ここまで情報をそろえて、何に使えるか・どう使うべきか等、語ることができるようになります。

新型コロナウイルスの対策に使えるかどうかについては、1,2の情報を中心に、その3で書いてみたいと思います。