牛乳に続いて、中国でのピーナッツ油からアフラトキシンが検出されたとの話がありました。
食品安全情報blog より
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20120104#p6調理用油からミルクに検出されたのと同じタイプの発がん物質が検出されたと火曜日に広東州政府が発表した。
新華社によると油はピーナッツから作られたものである。
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詳しい内容は会員にならないと読めない…
今回の件は、私も畝山先生の推察と同じで、検出されたのはアフラトキシンM1ではなく、
アフラトキシンB1だと思います。というか、それしか考えられません。
もっとも、B1の他にもB2、G1、G2の計4種類が検出された可能性も高いです。
前回書いたように、M1は牛の体内で代謝されたものですので、牛乳や乳製品以外で検出することはまずありえません。
http://d.hatena.ne.jp/ebi_j9/20111228/1325079202
(牛乳のM1もアフラトキシンB1も、アフラトキシンという括りでは同一グループなので、元文章は間違ってはいない)
(具体的な内容や濃度が書かれた元ニュースが欲しい…)
2012.1.7追記
別のところでも調査して、ピーナッツ油から検出されたそうです。ここではアフラトキシンB1を検出と明確に書かれてますね。
深セン市内の飲食店で使用されていた食用油をサンプル検査したところ、レストラン4店で、基準値を超える発がん性のカビ毒の
アフラトキシンB1が見つかった。うち2店舗では、基準値の4倍に達していた。南方日報が伝えた。
http://toanews.com/2009-02-07-09-36-35/7527-4.html
食品関係に詳しい人はご承知でしょうが、ピーナッツなどのナッツ類からアフラトキシンはしばしば検出されます。
普通の食品からアフラトキシンを除去することはまず不可能なのですが、
今回のピーナッツ油に関しては、アフラトキシンの対策をとることができます。
それは、油の製造工程における脱酸処理です。
(少し前の記事にもちょっとだけ書きました http://d.hatena.ne.jp/ebi_j9/20110626)
食用油の製造工程には、原料油に含まれる不純物を除くために、脱酸工程、脱色工
程、脱臭工程などがあります。この脱酸工程で食品添加物のアルカリ剤が使用され
ますが、これで大半のカビ毒が分解されます。さらに、その後の精製工程で分解し
、製品になるまでに完全に除去されます。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/kabi/kabidoqa.html
根拠となる元論文も一応紹介。
Parker, W. A. et all.:Absence of aflatoxin from refined vegetable oils, J. Amer. Oils Chem. Soc., 43, 635-638, 1996
http://www.springerlink.com/content/6wk14w4213144t74/
(Abstractは読めますが、全文は読めません)
脱酸処理を行うことによって若干風味は落ちるかもしれませんが、確実に安全になる処理なので、中国で取り入れてもらいたいです。
なお、脱酸処理を行わない場合でも、アフラトキシンに汚染されていないピーナッツを選別を行って製造するという方法も可能です。
(手間もコストもかかるのが難点)
食品からアフラトキシンを除去するのはほぼ不可能ですが…
食用油に関してだけはアフラトキシン除去が出来るので、これは積極的に製造現場へ取り入れてもらいたいです。