蛭子ミコト:ブログ版second

主に食品添加物や食品衛生のことについて書いていくブログ

水素は添加物だけど…

ちまたでは、水素水なるものが話題になってます。

まあ、科学的にどうこうなのかは、こちらのサイトを読んで頂きたく思います。

水素水の宣伝をニセ科学と呼ぶしかない理由
http://www.cml-office.org/wwatch/alkalli/comment-ph-08


まあ、なんとなく水素水のHPを検索してみると、ある文章が個人的に目につきました。

”水素は、厚生労働省によって「食品添加物」として認可されています。”

たしかに、既存添加物の168番に水素はあります。
http://www.ffcr.or.jp/zaidan/MHWinfo.nsf/a11c0985ea3cb14b492567ec002041df/c3f4c591005986d949256fa900252700?OpenDocument

しかし、その後に続く文章が問題です。
食品添加物として健康に害が無いことを厚生労働省が認めています。”


・・・食品添加物として認可されていることと、健康に害がないことはイコールではないのですが・・・
厚生労働省は、別にそんなこと認めてないと思いますよ。


ここで、食品衛生法による食品添加物の定義を記載します。
「添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によつて使用する物をいう。」


一方、「既存添加物名簿収載品目リスト注解書」という専門書によると、水素は以下の用途で使われていると書かれています。

不飽和脂肪酸に水素を添加して飽和脂肪酸とし、固形脂肪とする。
 (いわゆる、マーガリン、ファットスプレッドショートニングの製造に使います)
糖アルコールを製造するとき

つまり、水素は製造の過程において使用する添加物であり、摂取するために食品や飲料に加える類の添加物ではない、ということです。

この手の添加物は、加工助剤と呼ばれます。
 食品の加工の際に添加されるもので次の3つに該当する場合は、表示が免除されます。

1 食品の完成前に除去されるもの

2 最終的に食品に通常含まれる成分と同じになり、かつ、その成分量を増加させるものではないもの

3 最終的に食品中にごくわずかな量しか存在せず、その食品に影響を及ぼさないもの


私が加工助剤の説明でよく取り上げるものとして、塩酸(有名な強酸)、水酸化ナトリウム(強アルカリ性)があります。
この2つは添加物ですが、そのまま口にしたら火傷など重篤な傷害を引き起こします。
ただし、「最終製品から除去されている」ので、危害は起きません。

水素はもちろんここまでの劇物ではありませんが、加工助剤なので食品飲料中にはほとんど残らないのは同じです。

添加物には、製造・加工に用いて、口にはしない種類のものもあるのです。

添加物として認可されているから安全とか害がないとか、逆に危険だとかはいえません。
どんな性質で、どのように用いられているのかをきちんと確認する必要があります。(添加物に限りませんが)

最後に…
食品添加物としての水素について認識してないメーカーが水素水を販売しているということを指摘して、本記事を終了致します。



追記:なお、「健康食品」の安全性・有効性情報にも、水素の情報は何一つありません。
https://hfnet.nih.go.jp/

追記2:6月中旬に、「健康食品」の安全性・有効性情報に水素水の情報が公開されました。
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail3259.html
Foocomにも記事がありますので、そちらもどうぞ。
http://www.foocom.net/column/editor/14450/