蛭子ミコト:ブログ版second

主に食品添加物や食品衛生のことについて書いていくブログ

甘味料で食物アレルギー?と糖アルコールの区分の謎

5月10日に、このようなニュースが報道されました。

甘味料でアレルギー症状報告
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130510/k10014473591000.html (リンク切れ)

2013.6.20追記
NHK生活情報ブログのリンクで、より細かい内容になりました。
http://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/400/155986.html

一部引用
加工食品などに使われている甘味料が原因とみられる食物アレルギーの患者が30人余り報告されていたことが、専門の医師らの初めての全国調査で分かりました。
医師は、甘味料がアレルギーの原因になることはあまり知られていないとして注意を呼びかけています。

甘味料別では▽「エリスリトール」が15人、▽「キシリトール」が10人、▽「ステビア」が2人などとなっています。

正直、私は聞いたことがなかったので、このニュース自体を最初は疑ってました。
「甘味料は(中略)含まれる量が少ない場合、原材料としての表示を省略することもできます。」と書かれていたのでなおさら疑いました。
食品添加物の甘味料は五感に関わるので、表示は省略されません。
詳しくは食の安全情報blogに記事がUPされていますので、そちらをどうぞ。
甘味料の甘味料の食品表示について  http://d.hatena.ne.jp/ohira-y/20130510


この件に関して、色々Twitter上で情報提供がありまして、整理されました。

甘味料(天然物)でアレルギー報告 http://togetter.com/li/500585#c1073738
(このニュースを元にした談義ですが、食物アレルギーに関して有用なリンク先がたくさんありますので、そちらもご参考に)

上記のtogetterにある情報では、こんな感じでしょうか。
・文献検索でも2例、要旨集レベルでも報告はとても少ない。
・しかしながら、エリスリトールなどでアレルギー症状を起こすケースはある。
・症例が少なくまだ未知な部分も多いので、今後も調査をしていく必要がある。

個人的には、甘味料のアレルギーの頻度は非常に少ないので、現在症状が出ていない大多数の人は極端に避ける必要はないと思っています。
(甘味料は味の好みで選べばいい)

で、今回ニュースで言われた事例は、低カロリーあんぱんのあんにエリスリトールが使われていたけど、原材料表示が「あん」となってたケースらしいです。

これがキシリトールステビアだったら、食品添加物なので甘味料として必ず表示されます。
しかし…エリスリトールは甘みをつけるものではあるけど食品衛生法上「食品」なので、あんに砂糖の代わりとして混ぜ込んでも原材料「あん」で済むのかもしれない。
個人的にはあん(小豆、砂糖、エリスリトール)のように表示して欲しいですが。

消費者庁は「アレルギー物質としての表示が必要かどうかについても検討していくことになる」とコメントしています。

アレルギー表示をするとなると、食品扱いのエリスリトールと、食品添加物キシリトールで差が出てきます。
アレルギーの表示例を考えてみると…
食品添加物キシリトールは、甘味料(キシリトール)、
食品扱いのエリスリトールは、(原材料の一部にエリスリトールを含む)

間違いではないだろうけど、エリスリトールの食物アレルギーとしての表示をしてみたら、違和感感じます。


ここで表示例にステビアを使ってないのには理由があって…

今回のアレルギー事例では、キシリトールもエリスリトールも、両方とも「糖アルコール」に分類されるからです。(構造的にステビアは仲間はずれ)


この糖アルコールは、低カロリー、非う歯性などの特徴があります。
これが不思議なことに、分類は同じ糖アルコールなのに、食品添加物扱いのものと食品扱いのもの、両方あるのです。


食品扱いの糖アルコール エリスリトール、還元パラチノースマルチトールラクチトースラクチトールなど
食品添加物の糖アルコール キシロースキシリトールトレハロースソルビトール、マンニトール

(ちゃんと調べたつもりだけど、抜けがあるかも(^◇^;))

なんでこっちは食品であっちが食品添加物なのか、この区分けに科学的理由はありません。むしろ私が知りたいくらいです。

ここでいっそのこと、糖アルコールはまとめて食品添加物扱いにしてみてはいかがでしょうか?
甘味料(エリスリトール)と表示される方がシンプルで、アレルギー表示としても十分に成り立つと思うのですが、いかがでしょう。

(蛇足:エリスリトールは必ず表示するにしてもいいかもだけど…
さらに稀ながら他の糖アルコールでアレルギーが出る可能性を想像したので、添加物扱いにすればいいかな、と考えました)