蛭子ミコト:ブログ版second

主に食品添加物や食品衛生のことについて書いていくブログ

アフラトキシンの規制値が変わります

平成23年10月1日より、アフラトキシンの規制値が変わります。

食安発0331第5号 アフラトキシンを含有する食品の取扱いについて
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T110406I0010.pdf

食安発0331第6号 アフラトキシンを含有する食品の取扱いについて
http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/other/2010/dl/110411-1.pdf

1.アフラトキシンを含有する食品の取扱い
アフラトキシンアフラトキシンB1、B2、G1 及びG2 の総和)を10 μg/kgを超えて
検出する食品は、食品衛生法第6条第2号に違反するものとして取り扱うこと。

要するに・・・

今まで(2011年9月30日まで) : アフラトキシンB1 10μg/kg
これから(2011年10月1日から):アフラトキシンアフラトキシンB1、B2、G1 及びG2 の総和) 10μg/kg

今までは、最も毒性の高いアフラトキシンB1のみを規制していました。

これからは、B1・B2・G1・G2の4種のアフラトキシンの合計値で規制することになります。


それに伴い、試験法も変わります。(平成23年8月16日付で公表されました)

アフラトキシンの試験法について
食安発0816第1号 http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T110818I0010.pdf
食安発0816第2号 http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/other/2011/dl/110816-3.pdf

事務連絡(試験に用いる精製カラム等の一般名と代表的な商品名について)
http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/other/2011/dl/110816-2.pdf

トウモロコシ中の総アフラトキシンの試験法について(簡易測定装置を用いるときについて)
食安監発0816第7号 http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/other/2011/dl/110816-1.pdf



さて、ここでアフラトキシンの規制値の過去や雑感などを書いてみます。

日本でアフラトキシンが規制されたのは、昭和46年3月16日からです。(環食第128号)
http://www.ffcr.or.jp/Zaidan/mhwinfo.nsf/5bcb1018b0c4e33d492565f0000dd9b3/76760b49adad4ce749256dfd0017f477?OpenDocument#_j22ask44egok32a8_

文言では、”全ての食品において、アフラトキシンB1が不検出”なのですが・・・
この当時の試験法は薄層クロマトグラフィーで、検出限界が10μg/kgでした。そして、この検出限界値が実質上の規制値となった経緯があります。


最初に決められてから約30年後に、平成14年3月26日に高速液体クロマトグラフィーの試験法に変更されます。(食監発 第0326001号)
http://www.ffcr.or.jp/Zaidan/mhwinfo.nsf/5bcb1018b0c4e33d492565f0000dd9b3/464d711985192da049257241000f333e?OpenDocument

規制値は10μg/kgのまま据え置きでした。


その後、国際的な流れもあり、食品安全委員会も評価書をまとめ、議論の末、今年10月からアフラトキシンの規制値が変更される運びになりました。

今までのアフラトキシンB1だけでなく総アフラトキシンでの規制になったのは、評価書の45−47ページに書かれている事項が大きな要因だったようです。

かび毒評価書 総アフラトキシンアフラトキシンB1、B2、G1 及びG2)食品安全委員会
http://www.fsc.go.jp/hyouka/hy/hy-tuuchi-so_aflatoxin.pdf

一部抜粋 ”中国からの大粒落花生においてはAFB1よりAFG1の汚染が高い傾向が認められた。”

普通はアフラトキシン汚染があった場合、量はAFB1>AFG1であることが多いのですが、
どうも中国産では土壌の関係か、AFB1<AFG1となることがあります。

毒性でいえばAFB1の方が強いのですが、AFG1も立派に発ガン物質ですので、従来のAFB1規制だけでは不十分なことが想定されます。
それで、4種の総アフラトキシンで規制する流れに拍車がかかったと思われます。
(世界的には総アフラトキシンでの規制が多いです)


とりあえず、アフラトキシンでの規制値が変わるので、徒然と書いてみました。


おまけ:食品安全委員会 総アフラトキシンのリスク評価
http://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/19gou/19gou_3.pdf

アフラトキシンのリスク評価について大雑把な内容を把握するにはこちらの方が向いているかも。