蛭子ミコト:ブログ版second

主に食品添加物や食品衛生のことについて書いていくブログ

アルギン酸から放射性セシウムが検出された件

聯合ニュースより
韓国の日本産食品輸入85%減、放射線検査強化で
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2011/05/12/0200000000AJP20110512001300882.HTML

一部引用
食品医薬品安全庁は、最近日本から輸入されたアルギン酸製品1件から、1キログラム当たり41.9ベクレルの放射性物質セシウムが検出されたと明らかにした。基準値(370ベクレル)は超えていないが、輸入業者が自発的に全量(1000キログラム)を日本に返送することを決めたという。

同庁は現在、携帯用機器で放射性物質露出量を10秒間検査する定性分析を行い、1キログラム当たり5ベクレル以上が検出された場合は輸入品を返送するよう勧めている。

食品添加物のアルギン酸から放射性物質セシウムが検出!?

今回は、これを少し検証してみたいと思います。

まずは、アルギン酸とは?
既存添加物名簿収載品目リストによる定義では、以下のようになっています。
http://www.ffcr.or.jp/zaidan/MHWinfo.nsf/a11c0985ea3cb14b492567ec002041df/c3f4c591005986d949256fa900252700?OpenDocument

名称:アルギン酸(Alginic acid )
品名/別名:昆布類粘質物
基原・製法・本質:褐藻類(Phaeophyceae)より、温時〜熱時水又はアルカリ性水溶液で抽出し、精製して得られたものである。成分はアルギン酸である。
用途:増粘安定剤

褐藻類(Phaeophyceae)の詳細は、とりあえずWikipediaを参照してください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A4%90%E8%97%BB

製造メーカーによれば、アイスクリーム、ゼリー、パン、乳酸菌飲料、ドレッシング、即席麺、ビールなどさまざまな食品に利用されています。とのこと。
http://www.kimica.jp/alginate/application/

基礎情報はこのくらいにして、なぜアルギン酸から放射性セシウムが検出されたのか?
まあ、これはシンプルに、原料となる海藻由来と考えられます。
(個人的には、元の海藻の放射性セシウムの数値も知りたいところ。セシウムは主に海藻に残るのか、それとも熱水で抽出されるのか。)

海藻の分析結果もいくつか報告されていますので、海藻を原料とするアルギン酸から検出されても、それほど不思議な話ではありません。

農林水産省セシウムは検出されていない)
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/suisan/kaisou.html

国際環境NGOグリーンピース
(ベクレルの数値は高いが、核種の特定はしていない。この後、核種特定分析結果も報告してもらいたいところ)
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/pr20110512/



さて、ここで気になったのが元ニュースの内容。
携帯用の分析機器で、放射性セシウムを特異的に感度良く測定できたっけか・・・?
(携帯用のレベルでは、グリーンピースの報告のように、核種を特定できないはず)

しかも、たったの10秒間の測定で5ベクレル測定するというのは、現在存在している分析機器では不可能な気がする・・・。
(この辺の事情詳しい方がいたら、教えてください)

たぶんですが、元ニュースの内容の一部、特に10秒間検査して〜のくだりは記者のミスか勘違いではないのかな〜、と邪推します(^◇^;)
(韓国の食品医薬品安全庁のHPには詳しく載っているかもしれませんが、韓国語は読めないので(^◇^;)、これ以上の調査は現時点(5/15)ではできませんでした)
後日、詳細がわかったら追記します。

また、韓国の輸入業者の対応もよろしいものとは思えません。

今回の値は、韓国の規制値である370 Bq/kg未満でありますし、
添加物として使用するということを考えると、アルギン酸由来で放射性物質を大量摂取することはありえないのですから・・・。

(約42Bq/kgのアルギン酸を加工食品中に10%使ったと過程しても4.2Bq/kg。(添加物の使用量としては多めに過程した)

さらに1kgも一度に食べないだろう・・・・と考えていくと、実質無視できるレベルになることが計算できる)